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建設の転籍制限「2年」は、昇給とセットです|2年目の賃金を決めていない会社は選べません

テーマ:定着・住まいのサポート
30秒で結論

育成就労では建設分野の転籍制限期間が2年とされました(2026年1月23日閣議決定の分野別運用方針)。ただしこの2年は無条件ではありません。1年を超える転籍制限期間を設定する育成就労実施者は、分野別協議会が毎年設定・公表する昇給率によって、育成就労外国人の所定内賃金を1年目から2年目にかけて昇給させることとされています。国土交通省告示第784号(2026年6月23日公布)も、就労期間に応じた昇給その他の待遇の向上を建設分野の基準に含めています。つまり2年の転籍制限は「昇給を約束する代わりに得られるもの」であり、2年目の賃金を決められない会社は制度上その2年を選べません。

「建設は2年になったらしい。2年いてくれるならありがたい」

そう受け取られている方が多いのですが、この2年は無料ではありません。

建設は「2年」の分野になった

育成就労では、一定期間が過ぎると本人の意向による転籍が認められます。この転籍制限期間は分野ごとに決まりました。

2026年1月23日に閣議決定された分野別運用方針で、建設は2年とされています。2年になったのは、介護・建設・工業製品製造業・造船・舶用工業・自動車整備・飲食料品製造業・外食業・資源循環の8分野です。それ以外の分野は1年です。

理由は素直なもので、建設は技能の習得にも日本語での意思疎通にも時間がかかり、同じ環境で継続的に安全衛生教育をする必要がある、という整理です。受入企業にとっては有利な扱いに見えます。

ただし、1年を超える制限には昇給が付いてくる

ここからが本題です。

1年を超える転籍制限期間を設定する育成就労実施者は、分野別協議会が毎年設定・公表する昇給率によって、育成就労外国人の所定内賃金を1年目から2年目にかけて昇給させることとされています。昇給率は、その分野の賃上げ率を基準に決められます。

国土交通省告示第784号(2026年6月23日公布・適用2027年4月1日)でも、建設分野の基準として「就労期間に応じた昇給その他の待遇の向上」が挙げられています。

つまり、こういう取引です。

2年いてもらえる代わりに、2年目の賃金を上げる。

「2年間は辞められない」という制度ではありません。**「2年目に賃金を上げるから、その分は転籍を待ってもらう」**という制度です。ここを読み違えると、受入計画を出す段階で詰まります。

「昇給率」は自社では決められません

もうひとつ、実務で効いてくる点があります。

昇給率を決めるのは分野別協議会であって、会社ではありません。しかも毎年設定・公表される数字です。「うちの業績が悪かったので今年は据え置き」という運用が想定されていない、ということです。

さらに対象は所定内賃金です。所定内賃金は、決められた労働時間に対して支払われる賃金を指し、時間外・休日労働の割増賃金や賞与は含みません。

これが何を意味するか。残業を増やしても、賞与を厚くしても、この要件は満たせないということです。基本給か、毎月固定で払う手当か。そこを動かす話になります。

だから、先に決めるのは「2年目の金額」です

順番を逆にしてください。

多くの会社は「まず人を採る。賃金は入ってから考える」で動きます。育成就労ではこれが通りません。計画の段階で、2年目にいくら払うのかを説明できる状態になっている必要があります。

そのために、最低限これだけは先に決まっている必要があります。

  • 1年目の所定内賃金(基本給と、毎月固定で払う手当の内訳)
  • 2年目にどう上がるか(どの項目が、いくら上がるか)
  • 日給月給ではなく、月ごとに安定して払える形になっているか
  • 同じ現場にいる日本人の若手と並べたときに、説明がつくか

4つ目が実務では一番きついところです。外国人材だけ毎年上がり、5年目の日本人が据え置きという状態は、現場の空気を確実に壊します。制度が求めているのは育成就労外国人の昇給ですが、実際に作るべきものは日本人を含めた賃金表です。

日給月給のままだと、その手前で止まります

特定技能「建設」では月給制が要件とされ、日給制は認められていません。育成就労でも、報酬を安定的に支払うことが基準に含まれています。

日給月給は、雨で現場が止まった月だけ支給額が下がります。この形のまま「安定的に支払っています」と説明するのは難しく、そもそも2年目の昇給を約束する土台になりません。基準になる金額が月ごとに動いてしまうからです。

雨の日の分だけ人件費は増えます。ただし、採用のやり直しに15〜30万円かかり、住まいの手配をもう一度やる前提で計算すると、多くの会社では月給制のほうが安く上がります。この論点は辞める理由は「きつい」ではありませんでも触れました。

なお、就業規則・賃金規程の改定そのものは社会保険労務士の業務です。当社が窓口となり、中峯社労士事務所と連携して進めます。

まとめ

  • 建設の転籍制限は2年(2026年1月23日 閣議決定の分野別運用方針・2年は8分野)
  • ただし1年を超える制限を選ぶ会社には、分野別協議会が毎年公表する昇給率で、所定内賃金を1年目から2年目へ昇給させる義務が付く
  • 昇給率は会社が決められない。対象は所定内賃金なので、残業でも賞与でも代替できない
  • 日給月給のままでは、安定的な支払いも2年目の約束も土台が作れない
  • 実際に必要なのは、外国人材だけの昇給ルールではなく日本人を含めた賃金表

当社は人材のご紹介も派遣も行いません。人を送って手数料をいただく立場ではないので、「2年の制限があるから安心です」という売り方をする理由がありません。

お伝えしたいのは逆のことです。2年目にいくら払うかを決められる会社だけが、この2年を選べます。 その金額を出すところから、ご相談ください。

受入れの全体像は外国人材の受入れ支援、入社後の定着は定着・住まいのサポートにまとめています。

よくあるご質問

分野別協議会が、その分野の賃上げ率を基準に毎年設定して公表するとされています。会社が独自に「うちは1%で」と決められる性質のものではありません。毎年公表される数字に合わせて2年目の賃金を上げる、という運用になります。
できないとお考えください。対象とされているのは所定内賃金です。所定内賃金は、時間外・休日労働の割増賃金や賞与を含まない、決められた労働時間に対して支払われる賃金を指します。残業を増やしても、賞与を厚くしても、ここは動きません。基本給や手当そのものの設計の問題になります。
制度上はその整理になりますが、1年で転籍される前提になります。入国後講習・技能講習・安全教育・住まいの手配といった初期投資を1年で回収できるかを、実額で計算してから決めてください。多くの建設会社では、昇給の負担より1年での入れ替わりのほうが高くつきます。
まず賃金の形そのものです。特定技能「建設」では月給制が要件とされ、育成就労でも報酬を安定的に支払うことが求められています。日給月給のままだと、雨の日の分だけ月ごとの支給額が動き、「安定的な支払い」を説明しづらくなります。賃金規程の改定は社会保険労務士の業務ですので、当社が窓口となり中峯社労士事務所と連携して進めます。
制度が直接求めているのは育成就労外国人の昇給ですが、外国人だけ毎年上がって日本人の若手が据え置き、という状態は現場の不満に直結します。実務上は、日本人を含めた賃金表として組み直すほうが安全です。この整理も社労士事務所と連携して行います。

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