育成就労を待つか、特定技能で今動くか|建設業の判断は4つの質問で決まります
育成就労と特定技能はどちらが上という関係ではなく、役割が違います。特定技能1号はすでに技能を持つ人を迎える制度で今すぐ動けますが、建設分野では建設業許可・CCUS事業者登録・JAC加入・建設特定技能受入計画の国土交通大臣認定・月給制が必要で、計画の認定には1.5〜4か月程度かかるとされるため、逆算すると半年前から準備が必要です。育成就労は未経験者を原則3年で特定技能1号水準まで育てる制度で、施行は2027年4月1日、建設は転籍制限2年ですが2年目の昇給義務が伴います。判断は「いつ人が要るか」「未経験を育てる体制があるか」「2年目の賃金を作れるか」「土台が今あるか」の4問で決まります。
制度の解説は、検索すればいくらでも出てきます。足りないのはどちらを選ぶかのほうです。
育成就労と特定技能は、どちらが優れているという関係ではありません。役割が違います。
そもそも別の目的の制度です
| 特定技能1号 | 育成就労 | |
|---|---|---|
| 迎える人 | 技能がある人 | 未経験の人 |
| いつ動けるか | 今 | 2027年4月〜 |
| 転職・転籍 | 分野内で可能 | 建設は2年経過後 |
| 報酬 | 月給制が要件 | 安定的な支払い+昇給 |
入口も違います。特定技能1号は試験の合格か、技能実習2号の良好な修了が入口です。育成就労は未経験から入り、原則3年で特定技能1号の水準を目指します。
建設分野で求められる土台——建設業許可・CCUS登録・JACや協議会への加入・計画の認定——は、どちらの制度でもほぼ共通です。
「今すぐ現場が回らない」の答えは、育成就労ではありません。 育成就労は未経験の人を3年かけて育てる制度なので、目の前の欠員は埋まりません。逆に「3年かけて自社の型を覚えた職人がほしい」なら、特定技能で経験者を採るより筋が通ります。
判断は、この4つの質問で決まります
質問1:人が要るのは、いつですか
今年度中なら特定技能一択です。2027年4月以降でよく、それまで育成に手をかけられるなら育成就労が視野に入ります。
ただし特定技能も「今日決めて来月」ではありません。建設分野には建設特定技能受入計画の国土交通大臣認定があり、審査に1.5〜4か月程度かかるとされています。書類の準備期間を足すと、働き始めてほしい時期の半年前に動き出すのが安全な計算です。
質問2:未経験の人を、教える人がいますか
育成就労は育てる制度です。現場に「教える役」を置けるかどうかが分かれ目になります。
社長ひとりが現場を掛け持ちしていて、教育に回せる職長がいない——という状態で未経験者を入れると、本人も教える側も消耗します。この場合は、すでに技能を持つ人を特定技能で迎えるほうが、双方にとって現実的です。
質問3:2年目の賃金を、今つくれますか
建設の育成就労は転籍制限が2年です。ただし1年を超える制限を選ぶ会社には、分野別協議会が毎年公表する昇給率で2年目の所定内賃金を上げる義務が付きます。
2年目にいくら払うかを決められない会社は、この2年を選べません。 詳しくは建設の転籍制限「2年」は、昇給とセットですに整理しました。
なお特定技能「建設」も、月給制と日本人と同等額以上の報酬が要件です。どちらを選んでも、賃金の形を整える工程からは逃げられません。
質問4:土台は、今そろっていますか
建設業許可、CCUSの事業者登録、JACへの加入。この3つは特定技能でも育成就労でも共通の土台です。
すでに特定技能で受け入れている会社なら、土台は済んでいます。この場合、育成就労の準備は驚くほど軽くなります。一方、土台がまったくない会社は、どちらを選んでも最初の工程は同じです。だとすれば、両方をにらんで一度に土台を作るほうが効率的です。
費用は「単価」ではなく「回収期間」で見てください
特定技能で建設分野の人を受け入れる場合、給与のほかに間接費がかかります。JACへの受入負担金が月12,500円、支援の委託費が月2〜3万円が目安です。合わせて月3.5〜5万円程度が乗る計算になります。
これを高いと見るかどうかは、その人が何年いるかで変わります。1年で辞めれば高く、5年いれば安い。だから費用の議論は、定着の議論と切り離せません。
そして「外国人だから安く雇える」は制度上ありません。特定技能「建設」は日本人と同等額以上の報酬と月給制が要件で、育成就労も同等額以上を安定的に支払うことが基準です。この点は外国人材が仕事を選ぶ決め手にも書きました。
「紹介します」という提案が来たら
建設は、特定技能のなかで唯一、民間の有料職業紹介が禁止されている分野です。
合法なマッチングの経路は、JACの無料職業紹介、送出機関や登録支援機関を通じた候補者の形成、すでに働いている方からの紹介に限られます。「作業員を紹介します。手数料は1人あたり◯万円で」という提案は、その時点で成立していません。
なぜそうなっているのかは、建設の作業員は、派遣も紹介もできませんに条文まで書き出しています。
まとめ
- 育成就労と特定技能は優劣ではなく役割の違い。今すぐの欠員に育成就労は効かない
- 判断は4問——①人が要るのはいつか ②未経験を教える人がいるか ③2年目の賃金を作れるか ④土台が今あるか
- 特定技能も即日ではない。受入計画の認定に1.5〜4か月程度、逆算して半年前から動く
- 土台(建設業許可・CCUS・JAC)は両制度で共通。ゼロからなら両にらみで一度に作る
- 費用は単価でなく回収期間。「安く雇う」はどちらの制度でも成立しない
当社は人材のご紹介も派遣も行いません。どちらの制度を選んでも、当社の受け取るものは変わりません。 だからこそ、御社の状況で本当にどちらなのかを、利害抜きでお話しできます。
「まだ採用するか決めていない」段階で構いません。今いる技能実習生の在留期限を一覧にするところからでも、外国人材の受入れ支援のページからご相談いただけます。
よくあるご質問
「うちの場合、費用と期間はどうなる?」
要件・費用・期間は、会社の状況で変わります。建設業許可やCCUS、月給制への切り替えを含めて、御社の現状から順番を整理します。ご相談は無料です。
相談だけで終わっても構いません。しつこい営業はしません。